elderlyママのぼやき

元銀座のママです。長年続けてきたナイトクラブを令和2年3月27日に閉店しました。以降、農作業に励みながら銀座の思い出と日常をつづっています。

銀座にも「あしながおじさん」がいました!

 芸能人や著名人は銀座がお好きなようでよくお見かけします。

 当店の女性たちも、元SMAPの草薙君を見たとか、お笑いの又吉さんが歩いていたとか、興奮状態で店に入って来ることがままあります。

 私も、作家の東野圭吾さんをお見かけした時はテンションが上がりました。

 夜の銀座にはそうした有名人とは別に、銀座に従事している者でなければ知り得ないものすごいVIPが一般のお客さまの中におられたりします。

 S会長がまさにそのお一人で、彼を知らない者は銀座ではモグリと言われていました。

 S会長は情報関連の会社を経営されていて、その財力は計り知れないと噂されていましたが、私の紹介したい彼のすごさはそのようなものではありません。

 簡単に説明するなら、銀座の裏方や底辺で働く者たちへのたぐいまれなる面倒見の良さです。

 例えば、お客さまの車を預かるポーターさん、
 花売りのおばさん、
 易者のおじさん、
 つまみ類を売り歩くお兄さん、
 路上で歌ってCDを買ってもらう遠軽歌手のお姉さんたちがその恩恵に預かりました。

 会長はほぼ毎日銀座に出られるのですが、その日に行かれる高級クラブに彼らを順繰りに呼んでは酒をふるまい、愚痴を聞いて、こずかいを渡しました。

 まるであしながおじさんで、長い年月銀座におりますが、彼のような方を存じ上げません。

 ご縁があってお客様になっていただいたのですが、会長のおかげで当店は周囲から一目置かれる店になりました。

 八年前に鬼籍に入られましたが、すると易者のおじさんと演歌歌手のお姉さんをお見かけしなくなりました。

「見料に一万円も下さるんだよ」
「CDを一度に10枚も買ってくれたのよ」
 会長に手を合わせていたお二人の姿が浮かびます。

 花売りのおばさんはご健在で、小さな体に花を抱えて売り歩いています。

 目が合えば会釈します。
 私たちはお互い会長のチルドレンですから。

 お客さまがいない日、店の前にポツンと立っていると、
「銀座のママたる者が物欲しげに突っ立てるんじゃないよ」
 注意して、一緒にお店に入って下さいましたね。

 昨日のことのように思い出されます。

 S会長、天国でお元気ですか?
 
 なつかしくてとてもとてもお会いしたいです。f:id:ElderlyMom:20191202223254j:plain