elderlyママのぼやき

銀座の高齢なママです。夜な夜な話を書いています。

ホームレスに毛皮のコートをプレゼントしたホステスがいました。

 街はX'masモードですが、この時期になると決まって思い出すホステスがいます。

 かなり昔に、半年だけ一緒に働いた同輩ですが、この彼女のやらかしたことが強烈過ぎて何年経っても脳から消え去ってくれないのですf:id:ElderlyMom:20191224192944j:plain

 ホステス時代のあるX'masイブの夜、クラブの仕事が終わって帰ろうとすると、
「何か予定ある? なかったら割り勘で飲みに行かない?」
 と彼女に誘われました。

 さして親しくもなかったので驚きましたが、彼氏もいなければ別段用事もなかったのでOKして二人で六本木に繰り出しました。

 そこで、昔でいうディスコを皮切りにダーツbar、カラオケと夜が明けるまで遊びまくりました。

 彼女は実は私と友達になりたかったと打ち明けて、私を喜ばせてくれました。

 人目を引くスレンダーな美人で、客にも絶大な人気があった彼女でしたが、一匹狼的なところがあって、店の誰とも交わっていなかったのです。
 
 散々遊んで、
「さあ、帰ろうか」
 と、明け方の街をタクシーを探しながら歩いていた時です。
 
 彼女の脚がシャッターを下ろした店の前で止まったので振り向くとそこには、段ボールでねぐらを作ったホームレスが海老のように丸まって寝ていました。

「どうしたの? 帰ろうよ」
 腕をからめて促したのですが彼女は動こうとせず、じっとそのホームレスを見下ろしていました。

 次の瞬間、何をとち狂ったのか、羽織っていた毛皮のロングコートを肩から滑らせると、

「おじさん、風邪引かないでよ」

 ホームレスの体にふわりとかけました。

「ちょ、ちょっと何やってんの!」

 慌てて毛皮のコートをホームレスから剥がそうとすると、

「余計なことしないで! クリスマスプレゼントなんだから」

 存外に強い力と声で止められて、近寄って来たタクシーに押し込まれてしまいました。

 家に帰ったものの目が冴えて眠れませんでした。
 
 彼女が羽織っていたのは、毛並みが宝石のようにきらきら輝く、ホワイトミンクの最高級品です。

 どうして、ホームレスにあげたんだろう?

 酔っていたから?

 いやいや、私を止めたあの時の目は酔っていなかった…。

 それならおとうさんがホームレスをしていたとか?

 想像を巡らすもわかる筈がありません。

 夕方早めに出勤して彼女を待ちましたが、彼女は出て来ませんでした。

 店長に聞いたら、
「昨日でやめたんだよ」
 と教えられました。

 その後彼女とは銀座で会うこともなく消息知れずです。

 毛皮事件(?)も謎のままです。