elderlyママのぼやき

元銀座のママです。長年続けてきたナイトクラブを令和2年3月27日に閉店しました。以降、農作業と母親の介護に励みながら銀座の思い出と日常をつづっています。

きゅうくつなポジション。

 お客様のMさんがご昇進されたのは昨年の10月です。

 それまでの資材部長から常勤監査役への異動で、大抜擢だったそうです。

 監査とは、会社が健全に経営されているか、不正がないかをチェックする部門なので、当然ご自身も清廉であらねばなりません。

 それまで毎晩のように、あちらこちらの取引先から接待を受けて銀座の夜を享受していたMさんは自重を余儀なくされてしまいました。
 
 会社の同僚ともうかつに飲めなくなり、どころか避けられるようにもなったそうです。

 しょうがなく、早めに帰宅すると今度は奥方にイヤな顔をされるそうで、

「本当はこういう場所に来ちゃいけないんだが…」
 
 と言いつつ、お忍びで見えるようになりました。

 それも、 
「うちの会社の人間はf:id:ElderlyMom:20200118130512j:plain来てないだろうね?」
 
 事前に電話で確認を取り、入り口の扉が開くたびキョロキョロと落ち着きません。

 お帰りの際も、

「ここでいいから」
 
 と今までのように表まで見送らせず、空き巣のごとくこそこそと出て行きます。
 
 監査に抜擢された当初は、

「個室を与えられた」
 
 だの、

「秘書も付いた」

「年俸は二倍になった」
 
 だのと有頂天になっていたのですが、生じる不自由さは想定外だったようです。

 それなりにお気の毒と思っていたのですが、最近になって飲み方がガラリと変わり、同情出来なくなってしまいました。

 何と、若い女性を相手にエロ話や下ネタばかりを連発するようになったのです。

 ニヤつきながら、

「君と混浴に入ったら君は最初にどこを洗うのかな? 胸かな? それとも…」

「○○の時、君はどんな顔をするんだろうな?」

 当たり前ですが女性たちは引いています。
 
 陰で、『妄想親父』とあだ名をつけて席に着くのもイヤがっています。

 飲みながら村上春樹を熱く語り、ノーベル賞の正当性まで説いていた彼はどこへ行ってしまったのでしょう。

 思うに、お姉ちゃんを誘ったりくどいたりが出来なくなったので代わりに妄想という名の桃源郷にたどり着いたというところでしょうか。

 近頃ではMさんが見えると女性たちが更衣室に隠れてしまうので、引っ張り出すのが大変です。