elderlyママのぼやき

元銀座のママです。長年続けてきたナイトクラブを令和2年3月27日に閉店しました。以降、農作業と母親の介護に励みながら銀座の思い出と日常をつづっています。

蛇男

 虫酸が走るほど嫌いな男が銀座にいます。

 名前を市田勝と言って、八丁目でホストクラブまがいの『ボーイズバー』をやっています。

 何故この男を毛嫌いするかと言いますと、友人のママの店を乗っ取ったろくでなしだからです。

 市田は五年前に、ボーイとしてママの店に雇われたのですが、二年ほど真面目に働いてママの信用を得ると、店の一角を借りてボーイズバーを始めました。

 ママとしてはどうせ使っていないスペースだからと軽い気持ちで貸したのでしょうが、若いイケメンばかりを集めたボーイズバーは存外にも繁盛して、半年も経たない内に本来のクラブを侵略してしまいました。

 クラブは畳むことになり、ママもホステスも居場所を失ってしまいました。

 当時、市田は若干25、6才の若造です。

 その若造が生意気にもママに言ったそうです。

「家賃も光熱費も全部自分が負担するし、売り上げのマージンも渡すので、ママは今まで頑張られた分ゆっくり休んで下さい」と。

 要は追い出したわけです。

 ママはおとなしく引き下がりました。

 親子ほども年が違いますが、もしかしたら二人の間に大人な関係が横たわっていたのかもしれません。

 今、ママは『猫カフェ』をやりながら楽しく暮らしています。

 何の損害もこうむっていない私がこうして怒るのも変な話ですが、何もかもが用意周到だった気がして許せないのです。

 市田は去年の暮れにママ名義の店を出て、8丁目の新築ビルに移りました。

 この新型コロナウイルスでざわめいている近々に、ガールズバーもオープンするそうです。

 時々見かけますが、いつも女性を連れ歩いています。

 OLだったり、キャバ嬢だったり私のような年配ママだったりです。
 
 私に気づくとニヤつきながら寄って来ます。
 
 慇懃に頭を下げながら、

「一度、顔を出して下さいよ。ママの好きそうなタイプ、揃えておきますから」

 後が怖いから作り笑顔で応じますが、この男といると心拍数が上がって息苦しくなります。

 内面が顔に張り付いている典たるタイプの男です。 

 読後感の悪い記事を書いてしまいましたが、

『軒を貸りて母屋を乗っ取った卑劣な男』として、私の銀座historyに残さないわけにはいきません。

 ちなみに私はこの市田を『蛇男』と呼んでいます。
 
 実際、首筋に蛇らしきタトウを入れています。