elderlyママのぼやき

元銀座のママです。長年続けてきたナイトクラブを令和2年3月27日に閉店しました。以降、農作業と母親の介護に励みながら銀座の思い出と日常をつづっています。

奇跡の再会

 先週の金曜日、店の片付けをするためにまた銀座に行きました。

 陽の明るい昼過ぎでしたが、店舗の入っているビルに近づくと、入り口に小柄な男性が立っているのが見えました。

 逆光でしたが、どうもこっちを見て笑っているようです。
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 誰だろうと思いながら近づくと、
 
 「!」

 5年前まで、この七丁目界隈でホームレスをしていたおじさんでした。

 写真の男性です。

 心臓が射ぬかれるほど驚きました!

 何故なら、銀座を去るに当たって最後にどうしても会いたいと切に願っていたからです。

 このおじさんとのいきさつは以前『苦い悔恨』と題した記事に書かせていただきました。

「おじさん…なの? 本当におじさん?」

 おじさんの両腕をつかんで揺さぶりました。

 おじさんは笑いながらうなずきました。

「私のこと、覚えてる?」

 これにも、うんうんとうなずいてくれました。

 それにしてもおじさんのこの変わりようはどうでしょう?
 
 当時の、痩せ細って目だけがギョロリと鋭く、山奥に住む仙人を思わせた風貌は今はふっくらと柔和に変わっています。
 
 着ているのも暖かそうなダウンです。

「おじさん、元気だったの?」

「今、どうしてるの?」

「急にいなくなったから心配してたのよ」

 矢継ぎ早やに質問してしまいました。

 おじさんは私の問いに答えようとしてくれるのですが、マスクをしている上に抜け落ちていた歯もそのままのようでうまく聞き取れません。

生活保護』と『アパート』の言葉は聞き取れました。

 ちゃんと生活しているようです。

「あの時はごめんなさいね」
 
 5年前、急に冷たい態度を取ってしまったことを謝りました。

 謝りたくて、どうしてもおじさんに会いたかったのです。

「時々、銀座に来てたの?」
 
 この問いには首を横に振りました。

「店、もうやめたのよ。コロナウイルスが怖いから」

 店の名前が入っている袖看板を見上げて教えました。

「おじさんも感染しないように気をつけてね。またいつか会いましょうね」

 気持ちばかりのおこづかいをダウンのポケットにすべらせるとおじさんはペコリと頭を下げて去って行きました。 
 
 願っていた再会が叶いました。

 後ろ姿を見送りながらふとおじさんはどうして今日のこの時間、この場所にいたのだろう?

 不思議に思いました。

 まるで私が来るのを知っていたように…。