elderlyママのぼやき

元銀座のママです。長年続けてきたナイトクラブを令和2年3月27日に閉店しました。以降、農作業に励みながら銀座の思い出と日常をつづっています。

黄金の思い出:ステキな作家たち

 今日も店の片付けをするために銀座に来ました。

 外出自粛は厳守したいものの、この片付けばかりは店を明け渡す期限があるのでやむ終えません。

 当初は、専門業者に頼むつもりだったのですが、こうした最中、見知らぬ業者との対面や打ち合わせに臆してしまい、結局は一人でやることに決めました。

 朝の八時に銀座に着いたのですが、テレビでも放映していたように人の姿はまったくありません。
 
 当店舗が入居しているビルは館内の全照明を落としているせいでうす暗く、怖さを感じます。

 店は地下一階にあるので、スマホの電灯アプリを照らしながら階段を降りるのですが、不審者が潜んでいないかドキドキします。

 鍵を開けて店内に入るとホッとしました。

 それでも早く片付けて帰りたいので、一目散に更衣室に入りました。

 今日は女性たちが置いて行ったドレスや靴などを処分する日です。

 感慨に浸る間もなく、ハンガーから手早くドレスを外していると後ろの棚に数冊の単行本が見えました。

 全部が東野圭吾さんの本です。

 女性の誰かが忘れていったのでしょう。

 東野圭吾さんといえば、銀座がお好きなようでよくお見かけしました。

 俳優のごとくスラリとしたイケメンで、服装はいつも黒ずくめでした。

 いつでしたか、お一人で歩かれていた時に、

「東野さん、当店にもお入りいただけませんか?」
 
 冗談半分でお声がけしたら、

「客引きしてるんですか?」
 
 と笑っておられました。

 もちろん入っては頂けませんでしたが。

 小説家に限って言えば、「新宿鮫」を書かれた大沢有昌さんにもお目にかかりました。

 ごく最近で、2月頃だったと思います。
 いつものごとく店の前に立っていたらお二人で歩いて来られるのが見えたので凝視していたせいかと思うのですが、目の前で歩を止められ、
「どこかで、お会いしましたか?」
 とf:id:ElderlyMom:20200414122255j:plain話しかけて下さいました。

 新宿鮫は読破していたので、
「鮫島警部のファンです」
 と正直にお答えしたら、
「ありがとう」
 とおっしゃっていただきました。
 見るからにダンディーで、醸されていた雰囲気もダンディーで、何ともステキな方でした。

 北方謙三さんには、店の場所を聞かれました。

 作品からしてハードボイルドのイメージだったのですが、実際は小柄で優しそうなおじさんでした。

 あとは…
 
 伊集院静さんもお見かけしました。
 かなりの長身で、足早に歩かれておりました。
 トレンチコートがとてもお似合いでした。

 漫画家の、「島耕作」を描かれた弘兼憲史さんもお見かけしましたが、その少し前に何かの雑誌に、
「銀座は態のいい高級売春宿である」
 といったようなエッセイを書かれていたので、冷たい視線を向けてしまったような気がします。

 いずれにしても、胸をはやらせながら読みふけった本の作者方にお会い出来たのは貴重な体験でした。

 場所柄男性作家ばかりでしたが、銀座にいなければこうもお見かけすることはなかったと思います。

 ミーハーと言われそうですが、本好きな私に取ってはいつまでも覚えておきたい黄金の思い出です。