elderlyママのぼやき

元銀座のママです。長年続けてきたナイトクラブを令和2年3月27日に閉店しました。以降、農作業と母親の介護に励みながら銀座の思い出と日常をつづっています。

『みんな夢の中』

 店を閉めてから東京より140㎞離れた地方に母親と暮らしています。

 ここで毎日のように畑仕事にいそしんでいます。

 畑は、家庭菜園をやや広くした規模で家の脇横にありますが、先週ここで作業をしていた時に嬉しいことがありました。

 早朝の5時頃、キュウリやトマト、ゴーヤなどのつるを支柱にからませていると、ワンちゃんを連れたおじいさんが、

「早くから頑張るね」

 と、声をかけてくれました。

 コンビニの袋を下げたおばさんも、

「トマトはもう『芽かき』をした方がいいよ。栄養が取られてしまうから」

 と教えてくれました。

 お二人とも近隣に住まわれていますが、東京から移り住んだ当初は、

「おはようございます」

 とあいさつしても完全無視でした。

 東京で、『3密』そのもののナイトクラブをやっていたわけですから敬遠されても仕方ないとは思いましたがそれでもめげました。

 ひと月半経ってf:id:ElderlyMom:20200601121323j:plainようやく『村八分』から解除された気分です。

 ほっとしています。

 畑の作業を終えるとまだ寝ている母の朝食を作ります。

 母は、娘の私が越して来るなり、それまで週に二回来てくれていたヘルパーさんを勝手に断ってしまいました。

 なので介護を含めてやることが結構あり、日によっては一日中動いています。

 ですから、テレビで、

『Nanae』のママが、

『稲葉』のママが、

『ル・ジャルダン』のママが、

 銀座の窮状を訴えて、これからを憂えていてもひとごとのようです。

 お三方とも、街中でよく見かけましたし、共通のお客様がいたり、彼女たちの店のホステスが面接に来たりと、そうした意味ではまったくの無関係でもないのですが、不思議と何の感情も湧きません。

 店のあったビルや通りが映し出されても同じです。

 私は本当に彼女たちと同じ銀座にいたのだろうか?

 と疑いたくなるほどです。

 薄情なようですがでもこれで良かったのだと思っています。

 閉店した2ヶ月前は、

 あと10年は続けたかったので、執着や未練、喪失感といったものに苦しむのではないか?

 女性たちやお客様を思い出して泣いてしまうのではないか?

 そのあげくに酒に溺れるのではないか?

 などとマイナーなことばかりを考えて怯えていました。

 でも取り越し苦労でした。

 寂しさこそありますが、そこどまりです。

 日常に追い立てられているおかげでしょう。

 子供の頃に、

『みんな夢の中』

 という歌がはやりました。

 歌詞の意味もよくわからずに口ずさんでいましたが、今の私の心境はこのタイトルそのものです。
 
『みんな夢の中』です。

 化粧をして着物を着ていたのも、美容室で髪をセットしていたのも、香水を振りまいていたのもみんなみんな夢の中です。