だいぶ日にちが過ぎましたが、今月の8日はMybirthdayでした。
誕生日がめでたい年齢でもないのですが、母が憶えててくれて、
「これで何か買いなさい」
とタンス預金からこづかいをくれました。
福沢諭吉を2枚ですが、特に欲しい物もなかったのでそのお金で、普段手の届かない高級な牛肉とメロン、バースデーケーキを買いました。
母と二人だけの誕生日会の準備をしていると、近くのお寺の奥さんがハマグリを持って来てくれました。
先日、おすそわけしたゴーヤとモロヘイヤのお返しだそうです。
砂は吐かせてあるというのでフライパンを熱してその上に並べていると今度は、
「息子が釣って来たんだけど」
と、分団の役員さんがカワハギに似た地魚を持って来てくれました。
少し前、オクラの種を差し上げたのでそのお礼のようです。
お二人とも母の『畑仲間』です。
私の誕生日など知っているわけもなく偶然の頂き物です。
今、母と住んでいるこの家は私が40代の頃に「ついのすみか」として地元の大工さんに建ててもらったものです。
店の女性たちにも保養所のように利用して欲しいと思い、海のきれいな地を選んだのですが、家屋が竣工するやいなや、
「家はね、人が住まないと傷むのよ。特に新築はね」
そう言って母は東京を引き払い、ちゃっかりと一人で住み着いてしまいました。
当初はあきれ返ったものですが、するうち母は家の空き地に畑を作って農業を始め、ご近所さんに溶け込んでくれました。
おかげで後から参入した娘の私はよそ者扱いされることなく受け入れてもらえました。
「さあ、用意が出来たわ。誕生日会を始めましょう」
テーブルにごちそうを並べて、ケーキにろうそくを立てていると、表から太鼓や笛のお囃子が聞こえて来ました。
何かと思い窓外を見ると、マスクをつけた子どもたちが大人に先導されて花や人形が飾られた山車を引いていました。
今年の夏祭りはコロナ禍で中止と聞いていたので驚きました。
本来ならかなりの数の山車やみこしが練り歩く祭礼なのですが、今年に限って母と私が住んでいるこの集落から1基だけを出すことになったのだそうです。
偶然とはいえ、海の幸を頂戴したり、山車も見れて、何とも胸にくる誕生日でした。
この地に来て初めての誕生日ですが、歓迎されている気がしたのは思い過ごしでしょうか?